ヨーヨープレイヤー紹介ブログ。
第4回のスティーブ・ブラウン氏の次は、チームヨーヨーファクトリーのジェントリー・スタイン選手です。
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■ジェントリー・スタイン
これを書いている時点での現役世界チャンピオン、ジェントリー・スタイン選手は、アメリカ・カリフォルニア州チコ出身の1Aプレイヤーです。2014年にも世界大会で優勝しているので、5年ぶりに世界チャンピオンへと返り咲いた事になります。二度の世界チャンピオンに輝き、プラスチックのヨーヨー(リプレイプロ)で全米大会優勝という偉業も成し遂げているジェントリー選手。高身長で端正な顔立ち、クールで性格も良くてヨーヨーも上手い。まるで劣る部分のない天賦の才能がある人なのかと思われがちですが、実は陰で練習を惜しまない努力の人でもあります。2014年の世界大会前には日本に来日し、リワインドスタッフの城戸やC3の岩倉玲選手らと一緒に練習する日々を送り、納得がいくまでなんどもルーティンを通していました。大会に対する情熱と真摯な態度が、彼を世界チャンピオンへと導いたのかもしれません。
そんなジェントリー選手のヨーヨーキャリアは、出身地チコにあるチコヨーヨークラブ(全米ヨーヨー博物館が主催するヨーヨークラブ)から始まります。数々の有名プレイヤーを輩出してきた同クラブは三居くんのホームグラウンドでもあり、ジェントリー選手は三居くんの後輩・教え子のような存在でもあります。チコで腕を磨いたジェントリー選手は、三居くんにアドバイスを求めながら、やがて大会に出場するようになります。
そんな彼の将来性を見出したからなのか、あるメーカーから「うちのチームに入らないか」と声がかかります。そのメーカーとは、オレゴン州に拠点を置くワンドロップでした。あまり知られていませんが、一時期ワンドロップのチームメンバーとしてスポンサーされていたのです。しかし在籍期間は短く、その後ヨーヨーファクトリーへと移籍し、現在も在籍しています。おそらく多くの人は「チームヨーヨーファクトリーの絶対的エース」というイメージが強いかと思います。
アメリカの地方にある小さな町から始まり、大会で入賞するようになり、ワールドツアーで世界を周り、メディア出演なども経験し…やがて世界大会優勝をも成し遂げたジェントリー選手の成長は、まるでシンデレラストーリーのように語られます。
しかし、そこに至るまで順風満帆だったわけではなく、大会でライバルに負けたり、自分の力を発揮できないことも。ヨーヨーのフリースタイルはどうあるべきか、どうすれば勝てるのか、どうすればお客さんを楽しませられるのか、苦悩の末に導き出した答えをその時その時のフリースタイルで表現しながら、さらなる進化を求め現在進行形で奮闘しています。
ジェントリー選手の名前を有名にしている理由のひとつとして、彼のシグネチャーモデル「シャッター」が世界中で売られていることもあるでしょう。2013年リリースのシャッターは、2020年の今でも売れ続けている超ロングセラーな商品です。初めて手にするフルメタルヨーヨーがシャッターだと言う人はかなり多く、バインドヨーヨーの入門機種として、長く使える機種として、様々な層が愛用し、支持されています。その他にも「シャッターワイドアングル」「シャッターバイメタル」「リプレイ」といったシグネチャーモデルがあり、そのどれもがロングセラーとなっています。ジェントリー選手に憧れ、彼の監修モデルを買って練習し、大会を目指す…そんな子供たちが世界中にいること。その事実こそが彼の原動力になっているのかもしれません。