プラグマ開発秘話

こんにちは!ヨーヨーファクトリー所属の羽角伊弦(はすみいづる)です。
今回は、自身の経歴とシグネチャーモデルのヨーヨーである「プラグマ」が完成する過程を紹介できたら幸いです。

目次

1.羽角伊弦とは

まずは自己紹介をさせていただきたいと思います。私、羽角伊弦(はすみ いづる)は、yoyofactory(ヨーヨーファクトリー)という、アメリカで最大級のヨーヨーメーカーに所属しているヨーヨープレイヤーです。
大学生時代では、東京にて一人暮らしをしながらリワインド渋谷店でスタッフをさせていただいていました。
2021年には、長年の夢であった全国大会にて優勝することができ、全国チャンピオンになることができました!
これからは社会人として働きつつ、自分ができる範囲でヨーヨーを普及していきたいと考えております!

そして、個人的に特筆すべき大会での経歴を紹介させていただきます。

  • 2013World yoyo contest 1A部門 6位
  • 2016東日本地区大会 優勝
  • 2017西日本地区大会 優勝
  • 2018,19九州地区大会 優勝
  • 2021中部地区大会 優勝
  • 2021 全国大会 優勝

ざっくりと自己紹介をさせていただきました。
詳細や直近の活動については、Twitter( @izuruhasumi )などを見ていただければうれしいです!

2.プラグマができるきっかけ

実はプラグマは2つめのシグネチャーヨーヨーでして、1つめは「シンギュラリティ」というヨーヨーがあります。

これらは共にSUS YOYO MECHANICSさんにヨーヨーの制作にご協力いただき、生まれています。SUS YOYO MECHANICSさんには感謝してもしきれません。

今回のプラグマは、シンギュラリティを約一年、使ってみて気づいた点を改善し生まれ変わったヨーヨーです。

もともと、名前はシンギュラリティの名前を引き継ごうと思っていたのですが、考えに考えた結果、別の名前をつけることに決めました。
シンギュラリティは使いやすいヨーヨーですが、大会で使うのは少々懸念材料がかなり多いものとなっていました。

私は大会のステージに上がるとかなり緊張してしまいます。緊張すると、なぜかヨーヨーって軽く感じたりするんです。軽く感じるだけではなく、技が遅く感じたり、いつも成功する技が失敗してしまったり、腕が痺れてきたりする現象が起きたりします。(あれってなぜなんでしょう…?)

このことから「緊張を多少和らげることができても無くすことはできないので、緊張することを前提にしてヨーヨーを作ればいいのではないか」という考えに至りました。これが、シンギュラリティからかなり大きな変更が加わった点です。

これを踏まえて、大会で緊張してもしっかり重量を感じながらヨーヨーを動かすことができるように、そして難易度の高い技を安定してできるようにとステップを1つ追加し、安定的な形に変更しました。

シンギュラリティ
プラグマ

これにより、ステージ上で高いパフォーマンスを発揮することができます。
プロトタイプは66.6gと65.6gの2種類が存在しています。しばらくの間、どちらを製品版にしようかを考えていましたが、65.6gのプラグマを製品版にするという結論に至りました。

理由としては、シンギュラリティの64.6gから66.6gの変更というのはやはり大きすぎる変更であり、自分が順応するのにかなりの時間を要したからです。また、65.6gバージョンのプロトタイプは66.6gバージョンの安定感を持ちつつも重さはそこまで重く感じない、しかも回転力も全く落ちていないというまさに自分が求めていたものを全て兼ね揃えたものになりました。これらの過程を経て、ついに製品版のプラグマが完成しました。

3.プラグマという名前をつけた理由

まず前提として、シグネチャーヨーヨーを持つプレイヤーは基本的にさまざまな形でヨーヨーに名前をつけています。
自分の好きな作品(小説、漫画、曲など)において登場した単語や名前をつけたり、自分の大切な人の名前から名付けていたりしています。このことから、ヨーヨーの性能だけでなく、違う面からアプローチしてみるとシグネチャーヨーヨーの魅力がより一層、増すと思います。

そして私は”シグネチャーヨーヨー”というものに強いこだわりを持っています。なぜならシグネチャー、つまり専用のモデルが出るということです。
シグネチャーヨーヨーは、自分のこどものような存在として考えているので、名前もしっかりとした意味を込めてつけてあげたいなと考えていました。
ですのでシンギュラリティ、プラグマ共にストーリー性を持ち、それに因んだ意味をしっかりと名前に込めています。

プラグマとは、ギリシャ語であり「行為」や「事実」という意味があります。プログラミングでの用語においてもこの言葉は存在しています。また、実用主義や道具主義として用いられる、pragmatismの語源ともなっています。しかし、これらの意味として名付けてはいません。

プラグマという言葉は、ジョン・アラン・リーという人物によって提唱された6種類の愛の形態のうちの一つに分類されています。この単語の基本理念は”愛”で成り立っていて、「愛を一方的に受け取るのではなく”与える努力”をすること」がプラグマという言葉の示す概念です。もし、シグネチャーヨーヨー自体が有名になれば、私は「プラグマ」からさまざまな愛を受け取ることになります。私は「その愛を一方的に受け取るのではなく、愛を与える努力が必要である」と考え、この名前に選びました。

4.プラグマというヨーヨーの特徴

特徴は大まかに分けて3つあります。

1つ目は「回転力」です。
シンギュラリティに続き、プラグマも中空構造というステンレスとアルミ合金を接合する部分の中に空洞ができており、これを施すことにより外側に重心が寄り回転力が増すという仕組みです。さらにバイメタルですので回転力はモノメタルのヨーヨーと比べて段違いになっています。このおかげで一回投げただけで2分間技を連続して行うことができます。ちなみに中空構造のおかげて65.6gという重さが実現できていますが、あの見た目で中空構造でなければ80g位の重さになってしまうのです。中空構造ってすごいですよね…

2つ目は「ロゴ」です。
自身のシグネチャーヨーヨーは性能のみならず、見た目もこだわっています。プラグマのロゴは三上ジュンさんというデザイナーの方に制作していただきました。三上さんはプラグマのみならず、シンギュラリティも含め、ヨーヨー界隈においてたくさんのロゴを制作されているすごいお方です。プラグマのロゴは先述したギリシャ語での「πράγμα」の単語をロゴに落とし込んでおり、非常にカッコいいものに仕上がっています。

3つ目は「カラーバリエーション」です。
今までヨーヨーの市場にあまり出回らなかった色かつ見た目はとてもカッコいいという、コンセプトでカラーを選んでいます。今回、そして前回ともに4色展開でそれぞれカッコいいものに仕上がっているのでぜひご覧ぐたさい。これらの点もプラグマの魅力、特徴であると私は考えています。

おわりに

少々長くなってしまいましたが、プラグマについて書かせていただきました。少しはプラグマのこと、そして羽角伊弦について知っていただけたでしょうか。
このヨーヨーは見た目、性能ともに高い位置にいると私は考えているのでぜひ手に取っていただきたいと思っております。コレクションや大会に出場したいと検討している方、モノメタルヨーヨーの次のステップアップを考えている方にとてもおすすめです!

このヨーヨーは見た目、性能ともに高い位置にいると私は考えているのでコレクションをしたり、大会でモノメタルのヨーヨーを買ったお客様がステップアップとして使っていただいたり、先述したような緊張による体の弊害が起こるヨーヨープレイヤーは自分のみならず多い割合でいると感じているので大会に出場したいと検討している方にはぜひ手に取っていただきたいと思っております。

いづるおすすめアクセサリーパック

プラグマ単体でも十分に性能を発揮しますが、ベアリングやパッドなどの周辺パーツを標準のものから変更することにより、より高性能なパフォーマンスをすることが可能です。また、どのパーツがプラグマに合うかわからない方にとてもオススメなセットになっていると思います。

このプラグマでたくさんの人に愛されたり、喜ばせられることを切に願っています。私はこのプラグマと共にヨーヨー業界を盛り上げていくこと、そしてプラグマがヨーヨーファクトリーの定番となる機種になることを目標に歩んでいけたら何よりの幸せです。

羽角伊弦

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この記事を書いた人

リワインドのストアマネージャー(店長)。長年に渡り競技プレイヤーとして活躍し、2009・2010年全国大会1A部門では2年連続準優勝に輝く。ヨーヨーの腕前はもちろんのこと、大会のジャッジとしてもリーダー格として常に最前線で活躍中。チームファブリーズに所属。ヨーヨーパフォーマーNaotoの実兄でもある。三児の父!

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