スターバーストとは、定番のレスポンスの一種です。ループ1080、LP、ボルテクス、イニシエーターなど、主にルーピングヨーヨーに使用されています。
【写真1:ファイヤーボール(ヨメガ)】この出っぱったギザギザがスターバースト。ここにストリングが引っかかることで、ヨーヨーが手に戻ってくる。 |
そのスターバーストの弱点に「摩擦が強いため、ポリエステル100%のストリングだと溶けて切れてしまう恐れがある」というものがあります。
しかし、スターバーストレスポンスでありながら、ボルテクスのようにポリエステル100%のストリングで使用する事を前提としたものもあります。
また、スターバーストレスポンスのルーピングでも、ポリエステル100%のストリングで大会に出場する選手もいます。
その差は何なのか、考察してみました。
※基本的に経験をベースに考察しています。専門的な知識をお持ちの方がおられましたら、アドバイスを頂けると幸いです。おかしいところや間違いがあればぜひご連絡下さい。
ポリエステルのストリングはルーピングに向いてない?
ルーピングは勢いよくヨーヨーが何度も手から離れていくため、特にストリングにも強度が必要です。
昔使われていたコットン100%のストリングは近年の競技ヨーヨーに使用するには耐久性が低く、すぐ切れてしまうのが欠点でした。強度をあげるためにポリエステルを混ぜた、50/50のストリングが開発された事からも、ヨーヨーで使用する事においてポリエステルの方が耐久性が高いといえるでしょう。
【写真2:左からダンカンコットンストリング、ノンブランドタイプ6 50/50 Kストリングポリ100ノーマル】 |
また、ポリエステルのストリングは状態が変わりにくく、プレイ時間が長くなってもフィーリングが変化しにくい特徴もあります。
さらに、現在はポリエステルのストリングの方が種類も豊富にあり、様々な組み合わせを試すことができます。
ルーピングにもポリエステルのストリングが向いているのではないか、と考えられます。
ストリングが切れる原因
ポリエステル100%のストリングが切れるのは、、摩擦熱で溶けてしまうことが原因と言われています。
実際、あるルーピング機種はストリングが切れてしまう不良があり、発売を延期しておりましたが、ストリングを50/50のものに変えたところ、その不良が起こらなくなりました。
スターによる摩擦が強く、かつ、ギャップが狭かっため摩擦熱で溶けて切れてしまう事が原因だったのです。
摩擦熱が起こりにくければストリングが溶けて切れることはない?
50/50での使用が推奨されるループ1080と、ポリエステルのストリングを使用するボルテクスの比較です。
【写真3:ループ1080】 |
【写真4:ボルテクス】 |
ループ1080の方が、スペーサーとスターの高さの差が大きくなっています。
また、ループ1080はギャップ調整機能があるため、ギャップ幅を非常に狭くする事も可能です。
【写真5:ループ1080のギャップを最も狭くした状態】 |
このように、スターとスペーサーの高さの差が大きく、また、ギャップが狭い機種だと、ポリエステルのストリングでは摩擦熱でストリングが切れてしまうのではないかと考えられます。
実際、いくつかテストでギャップを狭めに設定したループ1080にポリエステルのストリングを装着し、使用すると、そのうちいくつかはすぐにストリングが切れてしまいました。
同じヨーヨーでも、ストリングを50/50に変えたところ、ストリングは切れなくなりました。
試してみました
スターとスペーサーの高さの差が小さければ、ポリエステルのストリング(Kストリングポリ100ノーマルホワイト)でもストリングが切れることはないのではないか、という仮説のもと、いくつかの機種で実験しました。
【写真6:ループ1080 + ヨメガ デルリンスペーサー(ブラック)】 |
【写真7:LP】 |
【写真8:クルーク】 |
ループ1080はヨメガのデルリンスペーサー(ブラック)を使用しました。
【写真9:左から YYFデルリンスペーサー(ループ1080純正)、ヨメガデルリンスペーサーブラック、ホワイト】 |
【結果】スタッフが使用している範囲では、通常より頻繁にストリングが切れることはありませんでした。
まだこの実験は、2ハンドルーピング世界トップクラスの選手に実験してもらったことはありません。そのため、本当に絶対切れないか、と問われるとまだまだ検証の必要な事柄だと思います。
しかし、2ハンドルーピング部門でコンテストに出場する選手もポリエステルのストリングを使用している事からも、機種さえ選べば通常使用するのに問題ないのではないか、と考えられます。
※まだこちらは検証中です。必ず自己責任でお試しください。
-岡田