C3ヨーヨーデザインというメーカーと、KROWNの完成まで

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私の所属する、C3ヨーヨーデザイン(以下 “C3″)からリリースされているシグネチャーモデル、クラウン
C3からは、同価格帯にPウェーブやエレクトリックフラッシュといったハイエンドモデル、バーサーカーRXといったフラグシップモデルもリリースされていますが、おかげさまで、それらに負けないくらいの高い人気と生産数を誇っています。
カラーバリエーションやブラストのバリエーションも数多く展開され、確かな性能はもちろんのこと、好みに合わせやすいことによる「手にとりやすさ」も、人気の理由ではないかと思っております。もともと仕上げの美しさに定評があったことに加え、ブラストバージョンと通常バージョンの両方を製作してほしいという私の要望を叶えてくれたC3には、感謝してもしきれません。

さて、すでに加入に関する声明と、クラウンのカンタンな紹介は、私自身のブログに掲載しております。
このコラムでは、クラウンの製作にまつわる話を、もう少し詳しくお話します。技術者目線でなく、販売者目線でなく、あくまで競技者目線でシグネチャーヨーヨー製作に取り組んだ記録です。開発期間は、発売日をタイミングとしては絶好の6月1日~2日のジャパンナショナルヨーヨーコンテスト(全国大会)に合わせるため、2ヶ月と1週間のみという超強行スケジュールでした。非常に短い期間でしたが、ここまでそれほど深く「設計」の部分に携わったことのなかった私にとって、実に濃密な時間を過ごすことができました。

人類の大半の人が知らない、もしかしたら想像もつかないかもしれない、競技ヨーヨーの製作と完成までのお話です。新鮮な内容であると同時に、いつか自分自身のシグネチャーモデルをリリースしたいと思っている方にも、参考になるのではないかと思います。

 

目次

1.コンセプトの決定

2013年の全国大会開催まであと2ヶ月と少しと差し迫った頃。C3からオファーをいただき、同時に私の希望するスペックのヨーヨーの製作が決定しました。私の経験上、年単位の時間をかけることも少なくないため、絶対に間に合わないのではないかと思っていましたが、C3は「もうスタンバってるから作り始めていいなら作り始めちゃうぜ」と頼もしい声。速すぎ。
実はこの段階では、まだ厳密に言えば『シグネチャー』ヨーヨーではありませんでした。ほかのメーカーの話もあったり、当面の間は無所属で居るかどうかも検討していた時期で、身辺の状況によって、どのようなポジションを選ぶことになるのかわからない状況であったためです。そのため、言うなればC3からすれば「チームメンバーになるかわからない人のヨーヨーを作る」という、採算が取れるかわからないリスクが高い方法を取ることになります。
そんな状態であったにも関わらず、C3は「なんとかするさ(要約)」と頼もしい声。頼もしすぎ。

話が一旦まとまったところで、シグネチャーヨーヨーの大まかな設定をします。各数値を明確に定めるのではなく、重めがいいのか軽めがいいのか、大きいのか小さいのか、ギミックはつけるかつけないか、そしてそのヨーヨーは誰に対し奨めたいものにするのかなど。この段階を踏み、しっかり具体的なプランを作っていかないと、なかなかその後のステップに進めなかったり、たとえ問題なく進んで良いヨーヨーが出来上がったとしても、自分にとっても曖昧なコンセプトになりプロモーションがしにくかったりと、結果プレイヤーの記憶や印象に残りにくいヨーヨーになってしまう可能性もあり、当事者側からすれば、もったいない状態のまま生産終了とせざるを得ないことだってあります。
もちろんヨーヨーのスペック(形状・重量・サイズ・素材など)から考えても良いと思うのですが、私はコンセプトからスペックを定めていく方法にしました。その方が、しっかりとした「理由」を基に製作できると考え、最初から最後まで指針がブレにくく、短期間でも完成度の高いモデルが出来ると考えたからです。

私のシグネチャーモデルなので、最初は私のワガママを当たり前のことも含めて書き出していきました。そこから色々と検討しましたが、C3とのミーティングも経て、最終的には以下のコンセプトとプランに決定しました。
(■=コンセプト □=実行のためのプラン)

■できるだけ長期間にわたって販売されること(継続的に安定生産されること)
□城戸慎也自身が理想とするフィーリングで、将来にわたって使いこなしたいと思えるものに仕上げ、当人自身が長期間使用し続けられるものにし、競技会でのプロモーションを継続できるように。
□現在にとって極端でなく、将来にとって標準となると考えうるサイズと重量に設計し、流行の移り変わりの早い業界内においても、発売した瞬間から数年後に至るまで選ばれやすい数値のスペックに。

■できるだけ多くの競技者にメイン機種として選んでほしいこと
□色数ではなく、染色方法でのカラーバリエーションを豊富に用意(単色・RAW・スプラッシュ・アシッドウォッシュ)。
□質感が大きく変わるブラスト加工とそうでないものの両方を作り、形状やカラーリングではない部分を重視するプレイヤーも対象に。
□軽いフィーリングによる疲労軽減と安心感のある回転力により、効率良く質の高い練習が捗り、本番でも使用を奨められるハイエンドモデルに。

■所持してはいなくとも、製品自体のことは好意的に知られること
□上記2項目以外にも、覚えやすく記憶に残りやすい名前に等。

これらのコンセプトとプランは、あくまで一例に過ぎません。なぜこのようなプランになっていったかは後述します。
アートワークなどデザイン面に関しては、すでにC3は定評があったので、全面的にまかせることにしました。私自身が図面を引くワケではないので、技術的や物理的に難しい部分はミーティングの過程で削除していくですが、今回はすべてが要望通りに実現していくことになりました。
ちなみに、この段階では名前が決まっていません。そのためアートワークが決定したのは、名前がついたあとになるので、リリースまでさらに日が近くなってからでした。

さて、製作に重要なのはここから。いよいよ形やパーツなど、具体的な設計面に関わる作業に入り、コンセプトを実現していきます。

 

2.ボディとパーツ

まずはボディの詳細を決めていきます。
ハイエンドモデルということと、私が理想とするフィーリングに近づけるため、素材は超々ジュラルミンに、シェイプはローエッジのステップラウンドに、エッジ部分はC3の中でもっとも好みだったバーサーカーRXの形状に決定しました。
超々ジュラルミンは、C3としては(ボディ素材に)採用するのが初めてだったのですが、ここでも「問題ない」と頼もしい返事をいただきました。問題なさすぎ。

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エッジの形というのは(他の部分も当然ですが)重要で、形や位置が1mm違うだけで操作感が大きく変わってきます。C3は一般的なエッジの形(Pウェーブエレクトリックフラッシュなど)のほか、バーサーカーRXレベル6のような若干丸みを帯びさせたような形のものがあり、私は後者の形のものの方がフィーリングが好みでした。そんな微妙な部分にも気を配ることで、理想的なフィーリングの実現に近づけていきます。
ステップラウンドにした理由は、性能面よりも、キャッチしたときの衝撃を考慮した結果でした。とくに私のような、ドンドン投げてドンドンキャッチするようなプレイスタイルの人の衝撃は、そのまま疲労に繋がります。練習効率も重要なコンセプトとして掲げていたモデルとしては、さり気なく重要なポイントだったのです。

シェイプを決定したら、次はプロファイルを決めます。ほとんど言葉の意味としては一緒ですが、(あくまでリワインドとしては)明確な違いがあります。
シェイプとはエッジからリムの最外側または本体幅の最外側までの形を指し、プロファイルとはサイドフェイスからベアリング装着部までの形…つまり断面図のことを指します。要するに、レスポンスの種類や大きさや厚みをどうするか、パッドを採用するのであれば、どの程度の深さにして、どの程度はみ出させるのか、はみ出させないのか。ボディに関する、すべてを決定します。
とくにサイドフェイスは製作者側とのすり合わせが重要です。サイドフェイスを平坦にすればロゴが入れやすくなりますが、そのぶん軸が短くなりすぎれば頑丈さが保てなくなります。貫通させれば中心部が軽量化されスリープ力の向上が図れますが、アートワークのデザインや外観に大きな影響を与えます。剛性を加味して中心部を膨らませれば、アートワークや外観だけではなく、内側に重量が増して回転力にも影響が出ます。何をどうしてもメリットとデメリットがあり、要望する当人の希望する性能とデザイン、それに製作者側の技術的な問題という3つの壁を越えなければいけません。


ところがプロファイルの要望を提出してから3日後、C3から送られてきた図面は2種類だったのですが、両方とも希望の叶え方はほぼカンペキでした。どの程度カンペキだったのかというと、2種類あった中から1つの図面を選んだのですが、その最初の図面から後に誕生する製品版まで寸法を99%変更しなかったくらいカンペキでした。
この時点で私のワクワクっぷりは頂点です。図面で見るヨーヨーは新鮮でしたし、何より使いやすそう。何年かヨーヨーをやっていると、外観でフィーリングが自分向きのヨーヨーかどうかが大体わかってきますが、C3はそんな自分のツボをどっぽり押さえてくるかのように、ほぼド真ん中ストライクゾーンに直球を投げ込んできたのです。

ちなみに、この後「少しだけリムの最外側を丸くして」とお願いしたところ、40分で次の図面が届きました。国を跨いでいることを一瞬忘れるくらい速い。

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設計に関しては、あとは使ってみないとわからない、というところまで来たので次はパーツの選定です。
ヨーヨーにはアクセル・ベアリング・(機種によっては)パッドが搭載されており、これらにも素材や大きさなど様々な種類があります。基本的には製作者側の負担軽減の意味も含めて、純正のものを使用すれば良いのですが、一点だけどうしても叶えてほしい点がありました。それはDif-e-Yoコンケイブ搭載』です。
その理由は、安心と信頼のブランドということもそうですが、何より私自身が2005年頃より常に愛用してきているベアリングであり、ほかにいくつもの種類のベアリングにふれてきた結果、トップクラスの品質であり、間違いのない選択であると確信していました。また、ヨーヨーのフィーリングの半分を作るのはベアリングだと私は考えており、私が好むフィーリングのヨーヨーというには必要不可欠なパーツでした。
しかもC3としては初のデフォルト搭載。無茶なお願いとは思いつつもメールしてみたところ、これもなんと問題なし。個人的には最も山場だと感じていた部分なので、心底ホッとしました…。

ちなみにコンケイブベアリングという名前はDif-e-Yo社の商標であって、凹型ベアリングのすべてを「コンケイブ」と呼ぶワケではありません。まるで「宅急便」が実はヤマト運輸の商標であるように、「シーチキン」がはごろもフーズの商標であるように、「サランラップ」が旭化成の商標であるように、あくまで一製品に過ぎなかったのに、当たり前のように使われる言葉となって浸透するほど、業界に大きな影響を与えたのです。

※リワインドでは、Dif-e-Yo社のモノでない凹型ベアリングを「曲面加工ベアリング (Curved Bearing)」と呼んでいます。

 

3.質感

一度プロファイルと搭載パーツすべてが決定しても、そこからいろいろとブラッシュアップしていかなければいけません。というのも、現時点では自分の希望であるスペックというのみなのです。もちろん、自分専用モデルであり、自分が納得さえしていれば問題ないというコンセプトであれば、この時点で完了したといっても良いのですが、私は「できるだけ多くの競技者にメイン機種として選んでほしいこと」というコンセプトも実現したかったため、さらに工夫を加えていきます。

さて、競技者がヨーヨーを選ぶ基準とは何でしょうか。もちろん、出来るなら実際に使ってみてから選びたいとは思うでしょうが、数千種類とあるヨーヨーをすべて手元に揃えるのは、ほぼ不可能です。好きなブランドかどうかを除けば、多くの人は形状とカラーを見るのではないかと思います。
しかし形状というのはカンタンに変えられるものではありません。やはりシグネチャーモデルなのですから、当人が競技会で使う上でもっとも扱いやすいと思えるものでないとならず、そのためにフィーリングの決定付ける重要な役割を果たす形状部を変えるのは難しいのです。
幸い今作はストレートの面積を多くとったステップラウンドであり、一癖も二癖もあるヨーヨーであるという印象は、そういった微細な部分まで感じ取る競技者の間では、ほとんど生まれなかったことでしょう。私の好みと合致した、運が良かった点です。

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続いてはカラーとロゴと表面加工、つまり形状以外のデザインの部分です。同じ形状のヨーヨーを並べて、好きなカラーとそうでないカラーが並んでいたら、間違いなく好きなカラーの方を取るのではないでしょうか。ヨーヨーは国ごとにカラーリングにも特色があり、C3は質感や仕上げの美しさの素晴らしさにおいて、以前から高い評価を得ていました。
ここで大きな問題はクリア出来て、さらにC3からも「生産ごとに逐一新しいカラーパターンやブラストは加えていくよ!」と頼もしい声。柔軟すぎる
これが本当に助かった点で、実はブラストの有無については悩みどころでした。ブラストとは表面に微粒子状の粉を吹き付ける加工法のことをいい、正式にはショット・ブラストといいます。ケミカルブラストやサンドブラスト、ビーズブラストといった種類があり、どれも質感が異なります(クラウンがどのブラストを採用しているかは回答できません)。私は種類を問わずブラスト有りが好みなのですが、無しの方の利点もあることを知っています。性能面では、有りの方がなめらかなフィーリングになり、手にふれたときやグラインド系トリックでのスリープのロスが抑えられます。逆に無しの場合は、投げ出しの時にグリップ感が生まれ、回転力が強くなったようなフィーリングが生まれます。外観においては、ブラスト有りの方が落ち着いた雰囲気になり、無しの方がギラギラとした金属らしさが良く出た雰囲気になります。
上の写真では、右側がブラスト有り、左側がブラスト無しです。見た目にも違いがあることが分かりやすいかと思います。

これは好みで分かれるものであり、どちらが優れているかどうかという問題ではありません。そして何より危惧していたのは、スペックの数値やデザインではなく、ブラストの有無で選択肢から外すという人も居ることでした。
そしてカラーパターンも同様で、アシッドウォッシュやスプラッシュといった複数色、単色、RAWなど、これらは性能に直接大きな影響を及ぼすことは(通常)ありません。しかし流行の複数色系が好きという方はもちろん、単色でシンプルなものの方が良いといった声も多いことを知っています。が、この時点では「そこまで要求するのはどうだろうか…」とも思っていました。もちろん、こういった要望は叶えだせばキリがないのですが、カラーリングとブラストは設計を根本的に変える必要がないとはいえ、プレイヤー側からすればメーカー側が負担すれば済む事、つまり一方的に要求を飲んでもらう形になるのです。
そういった点を、進んで自ら解決策を提示してくれたことには、大変な感謝と共に、驚きを禁じ得ませんでした。さらに驚いたのは、私自身がC3に対し、この対応が本当に将来的に継続して行われるのかどうかについて、これまでのリリース実績から、まったく不安を覚えなかったことです。高い意識と高い開発力の両方を兼ね備えていると確信した瞬間でした。

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最後にぶつかったのは、振っているときの感触…フィーリングでした。最初に届いたプロトタイプが自分の理想を叶えていた反面、さすがに多くの人が使うには軽すぎないか、もしかしたら重いと感じないか、回転力不足と感じる人は居ないだろうか、という不安とのせめぎ合いがありました。
そこで試しに聞いてみました。「Can you add more spin power (stability / sleep time)? But please DO NOT change diameter/width/grams.」つまり「スペックをとくに変えず更に回転力を上げることは出来るか」という、一見なんとも無茶な要望です。もちろん無理にというワケではなく、他にも解決のアイデアはあったので、あくまで万が一可能であれば…ということでしたが。
これもC3からは「we can add more spin power」と非常にシンプルで頼もしい回答をいただきました。カッコよすぎる。

これら以外にもいろいろな部分を悩んでいくのですが、企業秘密の部分にまで踏み込んでしまうので割愛します。ここまで悩まなくても、自分のモデルというのを作ることは出来ますが、悩める部分をしっかり悩んで出した答えを基に作り上げるヨーヨーは格別ですよ(技術的な面はメーカー側に委ねることになりますが)。どんな喜びがあるかは、あなたがシグネチャーモデルを手がける時までのお楽しみ。

 

4.名付けとプロモーション

ヨーヨー本体が完成したら、最後は名前を付けなくてはいけません。
この名付けというステップは、人によっては一番悩むポイントですが、まったく悩まない可能性もあるポイントです。例えば思いついた名前からヨーヨーのコンセプトが決まる場合もあれば、すべてが決まってから後で考える場合もあります。または、その中間にあたる製作過程から由来する場合があります。
シグネチャーヨーヨーの製作を夢見る人は、名前と形状をリンクさせて考え、ストックしておくというパターンが多いのではないかと思います。

クラウンの場合は、後から考えるパターンでした。なにせシグネチャーを新たに作るという話自体が唐突で、ヨーヨーの名前のストックが完全に無かったのです。
しかもヨーヨーらしい名前というのが案外難しく、最終案に至るまでは開発のギリギリまでかかってしまいました。
クラウンという名前に至った決定打の半分は、「できるだけ多くの競技者にメイン機種として選んでほしいこと」でした。すでに前回の記事でも書いていますが、クラウンはあらゆる人に使いこなしたいと思ってほしいこと、目標であったり、その人を象徴するかのようなモデルであってほしいという想いを込めています。冠とは、まさにその人を象徴する証であり、そのまま名前へと繋がりました。

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さて、ここで良く聞かれるのが「なぜCROWNではなく “K” ROWNなんですか?」という質問です。
その理由の一つが、すでにCROWNという名前のヨーヨーが中国のモデルに2個あるというものでした。これには困りました。すでに車の車種名としてもあるだけでなく、同じ商品であるヨーヨーにも同じ名前があるというのは問題です。しかし相当悩み抜き、もう制作にかける時間も少なく、ほかにアイデアがない煮詰まった状態でした。ほかの名前を提案してもらっていたりもしたのですが、どれも最終案には至らず、双方とも困っておりました。
そんな時、この状況を打破する決定打が生まれたのですが、申し訳ありません。まだここでは言えません。
ただ、必ず回答は出します。今後をお楽しみに。
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そうして名前が決まり、ロゴが完成し、完成品が到着しました。
さすがにここまで来たら、もうテストプレイ前からC3ヨーヨーデザインへの加入は心のなかでほとんど決定です。それに、ここまで1stプロトタイプの到着が1週間半、2ndプロトタイプの到着が2週間、製品版までの完成と量産が3週間。ちなみに1stは2種類、2ndでは4種類の個体を送ってきているのですから、これまた驚きです。この2ndプロトタイプの到着が、実質クラウンが私のシグネチャーモデルに確定した瞬間でした。
到着した完成品のクオリティも、当然納得。国を跨ぎ、(C3が英語を扱えるとはいえ)言葉の壁を乗り越えて、これだけの短期間でここまでの製品を仕上げてしまった彼らには本当に心の底から感服しました。
最終的な手続きは、発売日であるジャパンナショナルヨーヨーコンテストで行いたい旨を伝え、それまでは完全に情報を封鎖することに。そのため、6月1日から一挙に情報や写真、プロモーション映像がリリースされることになりました。
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C3というメーカーにもっとも強く共感したポイントは、1個1個のモデルを丁寧に扱うということにありました。
具体的にいえば、プロモーションです。

ヨーヨーに限らず、製品が出来上がって完成するのではありません。
人に知られて、初めて完成します。

生まれてきたことを認識されなければ、いくら自分の手元にあっても、そのヨーヨーは存在しないことと同義です。少なくとも、そう私は考えています。
C3はこれまで、ほぼすべてのヨーヨーのプロモーションビデオなど、ハイクオリティな映像や写真を製作しており、1個1個のヨーヨーのプロモーションに力を入れています。それだけに留まらず、プレイヤーのプロモーションにも積極的で、同じくプロモーションビデオのほか、2013年からは所属選手のシグネチャーモデルの開発を開始。とくにMOMO選手とモビテーションのプロモーションが、日本でも大きく目立っていたのではないかと思います。

海外メーカーであるが故に、自分が理想とするプロモーションがされるのかというのは、通常、大きな懸念点です。しかしモビテーションの事例を見ていたこともあり、自分とヨーヨーに関するプロモーションについては、一切不安になりませんでした。

こうした経緯があり、最終的に6月1日でチーム加入の正式発表となり、製品版も同日にジャパンナショナルヨーヨーコンテストの会場にて発売にまで至りました。
その後、私が写った写真はジャパンナショナルヨーヨーコンテスト前日に名古屋駅周辺で撮影したものが翌日中に公開され、ビデオは半月ほどで撮影・編集・公開されました。ほんと速(早)い。

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その後もクラウンは定期的に生産されており、半年ほどで20パターン近くのバリエーションが生まれており、どれも好評をいただいています。ここまでパターンがあるのは、C3史上クラウンが初です。(2014年2月19日現在)
多くのワガママを聞いていただき、こちらとしてもC3の期待に応えたいと、今もクラウンによる新しいフリースタイルや、新しいビデオの製作を目論んでいます。自分にとっても大きな区切りとなった、思い入れの深いヨーヨーですから、長く長く大事にしていきたいと思っているワケです。

シグネチャーヨーヨーがあるからこそ、というのもありますが、私は昔のように1つのヨーヨーは1大会で使って終わり、ということではなくなりました。何より今、それに耐えうるヨーヨーが完成しています。
その上、C3はコンセプトを損なわずにマイナーチェンジを繰り返しており、ほんのわずかに、しかし確実に時代に合わせて進化をさせています。これからいつまでクラウン使い続けられるかわかりませんが、少なくとも今、いつまでも愛用したいと思わせてくれるヨーヨーを生み出してくれたC3に感謝します。


いかがでしたでしょうか。シグネチャーヨーヨーを作ろうと考えてる皆さん、参考になりましたでしょうか。
これはあくまで一例です。もっとアッサリ出来ることもありますし(私の持つ情報の範囲では)、2年3年と時間が必要になることもあります。シグネチャーヨーヨー製作において、同じヨーヨーでも感触の受け取り方は違い、数値(スペック)とプレイヤーの希望が必ずしも一致するとは限らず、そのためにカンペキに思い通りのヨーヨーを生み出すのは非常に難しいと改めて感じました。
また、素材は国や地域によっては手に入りにくかったり、価格が高騰していたりする場合もありますし、工場も取り扱えるものが限定していたり、技術的に難しい加工を要求しなければならない場合もありますし、時には運を味方につけなくてはいけません。

シグネチャーヨーヨーとは、メーカーとプレイヤー双方の技術と苦労の結晶です。
皆さんの苦労が実りますよう、C3共々ガンバるヨーヨープレイヤーを応援して参ります。

2014/02/19 城戸慎也

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