デルスペレイダーの作り方

ファイヤーボール、レイダーのデルスペ化(ナイスペ化)について

日本で最も知名度の高いヨーヨーと言っても過言ではないヨーヨー、ファイヤーボール。そしてレイダー。
97年にバンダイから発売されたこのヨーヨー。未だにルーピング部門のチャンピオンの使用ヨーヨーがファイヤーボール、レイダーであるのことも珍しくありません。

彼らのプレイに魅せられ、ファイヤーボール、レイダーを購入した方もいるのではないでしょうか。

しかしちょっと待ってください。実際使用して、ルーピングに適していると感じましたか?

基本的にレイダー、ファイヤーボールはルーピングトリックに適していません。

トッププレイヤー達は、独自の、改造とも言えるセッティングを行っているのです。

それがファイヤーボール、レイダーのデルスペ化、ナイスペレイダー、ナイスペファイヤーと呼ばれるものです。

ファイヤーボールやレイダーを改造して作られるこのヨーヨーは、自分の好みのセッティングに出来ることから昔からルーピングヨーヨーの頂点に立ってきました。

ここではそんなヨーヨー改造、デルスペ化について解説します。

なお、ナイスペとはナイロンスペーサーの略なので、現在、正しくはデルスペ(デルリン(POM)スペーサー)、またはプラスペ(プラスチックスペーサー)と言います。
また、ファイヤーボールとは言っていますが、使うのはボディだけで内部はレイダーです。

以下、デルスペ、デルスペレイダーで統一します。

注意!

このコンテンツはデルスペ化を推奨するものではありません。
デルスペ化の構造、メリット、デメリットを正しく理解して頂くことを目的としています。

デルスペ化はメーカーの想定していない改造であり、デルスペ化を前提に製品は作られておりません。そのため、デルスペ化に関わる全ての故障、不良は自己責任となり保証、交換対象外です。

ヨーヨーには個体差があり、締め込みしやすいもの、しにくいものがあります。
物によっては、僅かに締め込んだだけで壊れるものもあります。

当店ではルーピングに特化したルーピングカテゴリのヨーヨーをオススメします。トリックの習得に差はほとんどありません。
状態のいいものを作れなければトリックの習得が遅くなり、また、状態の良いデルスぺ化ヨーヨーを作れるようになるまでは非常に多くの障害があります。

以上必ずご確認の上、自己責任で行って下さい。

目次

・デルスペ化のメリット、デメリット

デメリット

とにかくヨーヨーが壊れやすい
製作中に失敗して壊れるのはざらです。一度もスローすることなく壊れることもよくあります。衝撃にも弱いので、ヨーヨー同士がぶつかるとすぐに感触が変わってしまいます。
フィーリングが安定しにくい
使いやすい状態になったとしても、ちょっとした衝撃や長時間の使用で感触は変化してしまいます。また、変化したフィーリングを元に戻すのも一苦労です。

意外とコストがかかる
上記のようにすぐ破損してしまうので、予備が必要です。結果、多くのコストがかかる事も。

メリット

自分にヨーヨーを合わせることができる。

デルスペのヨーヨーは、自分に合わせてそれぞれのパーツを調整するため、極めれば完全に自分の好みにぴったりに作ることが出来ます。トッププレイヤー達はこの為だけにデルスペを使用してると言っても過言ではないかもしれません。ただし、作れるようになるにはトリックの習得以上に時間がかかる事も。

※繰り返しになりますが、自分の思い通りのデルスペレイダー。作るのには膨大な経験が必要です。最初の数個は失敗を覚悟したほうが良いでしょう(筆者もダンボール数箱分は制作、破損、失敗を繰り返しました)

いよいよ作製!

必要なもの

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ファイヤーボールレイダーのボディ
レイダーアクセルネオ
デルリンスペーサー
サイズEベアリング
オイル
ストリング
ペンチ(ファイヤーボールの場合、アクセルを外すのに必要)
紙やすり(ブラックのデルスペの場合不要)

レイダーの場合はデルスペだけ用意すれば問題ありません(デルスペ装着済のモデルもあります)

アクセルを外す(現行のレイダーは不要)

最初についているアクセルは長いので、レイダーアクセルネオと交換する必要があります。

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バイスプライヤーや、ペンチを使ってアクセルを外していきます。

ペンチを使用する場合、根本で挟むほうが外れやすいです。

ファイヤーボールのアクセルは、この後あまり使う機会はないので傷ついても構わないぐらいの気持ちで外します。

デルスペを削る(ブラックの場合不要)

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ホワイトのデルスペは非常に厚く、スターよりスペーサーの方が高くなっています。

これを削って、好みの高さに調整します。

つまり、ブラックのデルスペでは薄いと感じる人のみ、この作業は必要です。

斜めに削れてしまうと、戻りのフィーリング、スリープの伸びが大きく損なわれるので、できるだけ水平になるよう削っていきます。

凹面、底面を削るバランスでフィーリングが大きく変わります。

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削るバランスも人によって大きく異なり、これもいくつも試して自分に合うものを探すしかありません。

通常は目の荒い600〜800番と目の細かい1200番ぐらいのものを用意するようです。
因みに筆者は面倒くさがりなので、400番ぐらいで一気に削ってしまいます…

削り方

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人差し指の腹でできるだけ均等に力を
いれながら抑え、ゆっくり円を描くように削ります。

何度か円を描いたら、1/4程デルスペを回転させ、また円を描いて削ります。

こうして少しずつ、均等に削ります。

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※親指と人差指で抑える削り方は、早く削れますが必ず斜めになるので絶対にやらないでください。

凹面を削った場合、削ったところが荒れているとストリングが切れる原因になるので、1200番以上の、目の細かい紙やすりで表面をならしてください。

よくわからなければ、底面を削り、スターと同じぐらいの高さでも構いません。

フィーリングが気に入らなければ、、もう少し削るなど調整して下さい。

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豆知識

ファイヤーボールやレイダーはロットや金型によって、僅かにスターの高さが異なります。そのため、トッププレイヤーは改造予定のヨーヨーそれぞれに専用のデルスペを作ります。

メンテナンスをする。

しっかりスペーサーとボディを綺麗にして、簡単にメンテナンスをします。

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オイルを注入し、好みの長さのストリングを用意します。

ヨーヨーを締め込む。

この状態ではまだギャップ幅が広すぎるため、徐々にヨーヨーを締め込んでギャップを狭くしていきます。

ここが最もヨーヨーが壊れやすい行程です。十分注意しながらゆっくり行ってください。

冒頭でも触れたようにほとんど締め込んでないのにヨーヨーが壊れる場合もあります。その場合も自己責任となりますのでご注意下さい。

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普通にヨーヨーを組み立てたら、そこから更に締め込んでいきます。

必ずゆっくり行って下さい。

僅かに締まると握る箇所を変えて再び締め込みます。

同じ位置でずっと締め込むと、ヨーヨーがハの字になりやすいので注意しましょう。

 

水平な机の上に置いて、少し転がしながらハの字になってなってないかチェックします。

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10円玉一枚分かな?と思うところまで来たら、ストリングをつけてループをして見て下さい。そこから締める→チェックの繰り返しです。

完成

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好みのフィーリングになったら完成です。

ワンポイント

デルスペレイダーはプレイしていると徐々に締まることもあります。また、ヨーヨーの個体差で最初から締まり過ぎていることもあります。

その時は「金スペ三枚締め」を行って下さい。

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その名の通り、金属スペーサーを三枚入れて締め込みます。これでギャップが金スペ三枚分ほどに広がります。

※この作業中にヨーヨーが壊れることもあります。ご注意下さい。

オマケ:ベアリングが入らなくなった

締め込みを行うと、アクセルの、ネジの手前に返し(出っ張り)が出来てしまい、アクセルにベアリングが入らなくなることが有ります。

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この返しの部分はパーツ、プレイに干渉しない場所なので、ヤスリで削ってしまいましょう。
注意:返しの部分だけ削るようにしましょう。ネジの部分や、他の部分まで削らないように気をつけましょう。

デルスペレイダーは、全てのパーツを調整することで無限にフィーリングを調整できます。
しかし、無限に調整できるということは、自分に適したヨーヨーのビジョンが明確でなければ調整する事は出来ません。
戻りが強くてスリープが長い!といったイメージではなく、スターの当たり具合、ヨーヨーの投げ出した時の感触、ストリングが伸びきった瞬間の挙動、手元での動きなどをしっかりイメージする事が必要です。

何度も繰り返しになりますが、デルスペ化は全ての方にオススメできるものではありません。しかし、上手く作れると最大の武器にもなります。自分にとってどんなヨーヨーが最も適しているか、しっかり考えて挑戦してみてください。

-岡田

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この記事を書いた人

リワインドのストアマネージャー(店長)。長年に渡り競技プレイヤーとして活躍し、2009・2010年全国大会1A部門では2年連続準優勝に輝く。ヨーヨーの腕前はもちろんのこと、大会のジャッジとしてもリーダー格として常に最前線で活躍中。チームファブリーズに所属。ヨーヨーパフォーマーNaotoの実兄でもある。三児の父!

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