「ギャップ」と「スベリ」

ギャップとは?

ギャップとは、ヨーヨーの溝幅のことをいいます。この幅が広ければ広いほど、スベリが良くなります。


【写真1:フリーハンド(ダンカン)】ここがいわゆる「ギャップ」と言われる場所。ここが広ければ「スベリ」が向上し、ストリングトリックにおいて有利になる。

しかし、いきなり「スベリ」と言われても、なにかわかりません。
というわけで、まずは「スベリとは何か」について学んでいきましょう。
 

スベリとは?

ヨーヨーにおいて「スベリ」というのは、ヨーヨーがストリングの上でどれだけスベりやすいか、ということを指します。とくにストリングトリックのほとんどは、スベリが良ければ良いほどやりやすくなるので、とても重要な要素と言えます。


【写真2:ハイパークラスター PBスターループ(ハイパーヨーヨー)】ストリング1本が入る、ギリギリくらいの幅しかない。ルーピング用機種は、このくらいのギャップのものが多い。

ギャップがせまいヨーヨーの一例です。溝幅がせまいということは、ボディ(レスポンス)とストリングがふれやすいということになります。つまり、ストリングの上にヨーヨーが乗っていると、回転しているヨーヨーとストリングがずっとコスれている状態になるので、すぐスリープが止まってしまいます。なので、戻りが良くなければいけないルーピングトリックには向いていますが、「エレベーター」や「ブレインツイスター」のような、ヨーヨーがストリングの上をスベるストリングトリックには不向きです。


【写真3:プリモ(ヨーヨーファクトリー)】上の写真と比べ、ギャップ幅が広いのがわかる。大径ベアリングと呼ばれる大きめのベアリングが流行したのは、ギャップが広がるからというのが大きい。

こちらは逆に、溝幅が広いヨーヨーの一例です。ボディ(レスポンス)とストリングがふれにくいので、ヨーヨーをストリングの上に乗せていても、スリープが続きやすくなります。そのため、より複雑なストリングトリックに挑戦できるようになります。そのかわり、ギャップが広くなっていくと、戻りが弱くなるか、バインドを使わなければ手に戻ってこなくなってしまうので、ルーピングトリックはほとんどできなくなります。

目次

スベリが悪いのは、良くないこと?

ここまで見ると、スベらないヨーヨーは一見すべてダメなヨーヨーに思えますが、決してそんな事はありません。

何故かというと、溝幅がせまいヨーヨーは、ちょっと引けばすぐに手に戻ってくる、つまり「戻りが良い」という最大の特徴があります。そして戻りが良いというのは、ルーピングトリックに必須の要素です。また、しっかり手に戻ってくるヨーヨーは、これからヨーヨーをスタートするという方が一番最初に覚えるトリック「グラビティ・プル(上げ下げ)」「スローダウン」「スリーパー」などにも適していますので、溝幅がせまいヨーヨーの多くは、初心者向けヨーヨーや、ルーピング向けヨーヨーとして分類されることになります。

溝幅が広いヨーヨーとは、手を引いても幅の狭いものより戻ってきにくかったり、ましてやバインドが出来ないと戻ってこないものもありますので、ルーピングはほとんど出来なくなってしまっています。なので、ストリングトリック向けヨーヨーとして分類されることになります。

スベリが良い・悪いというのは、用途によって使い分けているだけなのです。
 

スベリが良くなる要因

スベリが良くなるための要因、できる工夫を紹介します。
・ギャップが広い
・幅の広いボールベアリングを搭載
・レスポンスが固い

_└ストリングが触れても、摩擦しにくければスリープロスしにくいため。
・レスポンスが凹んでいる
・ストリングが細い
・ストリングのヨリがちょうどよい
_└少し弱めくらいでもOKです。逆に強めだとスベリは悪くなりやすくなるので注意してください。
ストリングの「ヨリ」とは何か、ヨリ調整の方法などについてはこちら。
 

戻りを良く(スベリを悪く)するには?

基本的に、戻りが良くなる方の「逆」をすれば問題ありません。
・ギャップがせまい
・レスポンスが出っ張っている

_スターバーストが代表的です。とくにルーピングヨーヨーの多くは、スターバーストを搭載しています。
・レスポンスがやわらかい(パッドのレスポンスのみ)
・ストリングを2重巻き以上の状態で使用する
・ストリングが汚れている

_└スベらせるとき、実はボディより先にストリングどうしがコスれます。汚れたストリングはコスれるときに引っかかってしまい、よりボディと接触しやすくなってしまいます。こうなってしまったストリングは、できるだけ早く交換しましょう。
・ストリングが太い
_└ストリングが太くなるのは、溝幅がせまくなることと同じです。しかし、太いストリングはレスポンスにしっかり巻き込まれるようになるので、投げ出す瞬間にヨーヨーに力が伝わりやすくなります。つまり、より強く投げ出せるようになるので、スリープ力の向上を狙えます。ギャップが十分に広ければ、ストリングプレイでも、わざと太いストリングを使用するというのは、大いに使える作戦といえます。
・ストリングのヨリが強すぎる、もしくは弱すぎる
_└汚れている時と同じで、ストリングどうしがコスれるときに引っかかりやすくなり、うまくスベらなくなってしまいます。

また、厳密に言うと、コンケイブベアリングのような凹型ベアリングもスベリが悪くなる要因ですが、若干なうえ、それよりもスリープロスがしにくいというメリットの方が大きいため、ほとんど問題視されません。
 

まとめ

ストリングトリック用のヨーヨーには、スベリが良いものが良く使われます。
ルーピング用のヨーヨーでは、スベリが良いか悪いかを気にする必要はありません。単純に戻りの強さだけを調整しましょう。

目次