国際大会へ行くとき便利帖 (2017/01/25 城戸慎也)

移動時間は練習タイムかしら、それともリラックスタイムかしら。
海外旅行に行くとき、もっともネックになるのは飛行機内での時間の潰し方ではありませんか?
現地・出発前と、ほかの部分はスケジュールをしっかりと組み、用意しておくことで乗り越えられます。ましてや韓国・台湾・中国など近場であれば2~5時間程度で到着できるので、さほど苦労はしないかと思います。

しかしアメリカやヨーロッパ等となると別です。アメリカはハワイまでも7時間~9時間、本土に行くなら10時間以上、長くて14時間近くかかります。ブラジルなんかは日本から直行便はなく、飛行時間だけで25時間はかかるそうです。※1
9時間以下なら寝て過ごすことも視野に入れやすいですが、それより上だと、ビジネス・ファーストクラスでも無い限り、のんびり寝て過ごしきれるかというと、ほぼ不可能に近いです。

さらにネットも使えない、電話もできない環境です。現代人は地上においてはケータイが一人で時間を潰す主な手段になりますが、飛行機では外部との通信手段としては無力になってしまうため、その威力は半減、もしくは皆無です。

つまり飛行機内での過ごし方というのはとてもネックな場所だと思うのです。どうにかしたいけど選択肢が少なく、かといってラッキーで時間が潰れたりすることはほとんどないので、なにも対策をしないと九割の可能性でとても退屈で無意味な時間を過ごしてしまうことになります。海外旅行も国際大会も長期のものです。家を出てから家に着くまでを計画的にしておくにこしたことはありません。

これを期に、持っていくの便利なものや予算等と一緒にメモがてら置いておきます。

予算 大人一人あたり(為替によって変動)

「普通に行って、普通に楽しむ」基準です。

  • アメリカ・ヨーロッパ(飛行機10~20時間)
    航空券 15~25万円・エコノミー
    宿泊費 1泊5,000円~15,000円
    総予算 30~40万円

    現地の食費は物価次第ですが、アメリカは大体国内旅行と同じ感覚、ヨーロッパはアイスランドなど物価が高い地域はその倍はすると思ったほうが良さそうです。
    ※1アメリカドル110~120円想定
  •  

  • シンガポール(飛行機5~8時間)
    航空券 4~7万円・エコノミー
    宿泊費 1泊3,000円~10,000円
    総予算 10~15万円

    ヨーヨープレイヤーは、おそらくシンガポールに行くのがほとんどだと思うので、シンガポール基準にしました。シンガポールは東南アジアの中では物価が高い方なので、日本と同じくらいの感覚でいたほうがいいです。マレーシアやフィリピンなら、これだけの予算があれば結構贅沢できるはずです。
    ※1シンガポールドル75~90円想定

 
当然ですが総予算(航空券・宿泊費・現地での食事代などを含んだ合計)は工夫次第でもっと抑えられることもできます。ホテルは複数人で割ったり、AirBnB(個人の部屋貸し出し)を利用したり、現地の友人宅に泊めてもらったり、航空券は早割を利用したり、食事は全部持参したり。ですが、まずここでは「普通に行って、普通に楽しむ」ことができるラインで書いています。もちろん現地の三ツ星ホテルに泊まったりすれば予算は跳ね上がります。

しつこいようですが為替や物価で予算は大きく変動します。例えば2010年~2016年では、円安によりシンガポールドルは1.5倍高くなりました。

暇つぶし

★=有効度を最大5つで表示。
できそうなことを複数用意しておくと、より暇つぶしやすくなります。

  1. しゃべり倒して過ごす ★★★★
    仲のいい友達と旅行に行く場合に、スタンダードでもっとも有効な方法。というか普通はこうするしかないはず。しかし反抗期な娘息子を連れる家族連れや、1人での旅には厳しい。あと自分以外の人が寝落ちしたときが辛い。しかも飛行機内はそれなりにうるさいので、会話を捗らせるにはそれなりに体力を使う可能性も。
  2.  

  3. 前日まで徹夜しまくり機内で寝倒す ★★
    徹夜に徹夜を重ね、機内では完全に寝たまま過ごす方法。完全に最初から最後まで寝尽くすことができたときは良いが、機内食が食べられないため空腹で目が覚めると辛い、隣客との折り合い次第(体臭・サイズ・エコノミークラスでのトイレ移動・落ち着きのない人など)では最悪の体調に、空港の中で倒れたりしないよう注意が必要など、ギャンブル性も高い。耳栓やイヤホン(ノイズキャンセリング付きが望ましい)・目隠し(アイマスク)・マスクの用意推奨。効果は絶大です。これは全部寝て過ごすつもりの無い人にもオススメ。
  4.  

  5. 映画を見倒す ★★★★
    見たかった映画を見まくるチャンス。1本1時間半~3時間だから遠距離なら2~5本は可能。でも、1本だけあるという場合は危険。ひとしきり感動しきったあと「まだあと10時間ある…」となるとテンション急降下間違いなし。飛行機によっては席で映画が見られるようになっているので(国際線なら普通日本語音声・日本語字幕は無いそうですが)、それで過ごすのも当然可。僕は2012年の世界大会の帰りの便で、アベンジャーズを公開前に英語版で見ることができました※2
  6.  

  7. 本を見る ★★★★★
    機内は消灯時間でも、自分の席だけ灯りがつけられるため、本は相当有効。しかし当然普段から読書をしない人には向いていないことと、実物を持っていく=荷物が増えるのがネック。そこでオススメなのが電子書籍。読めるジャンルが少々限られるが、読みたい分はほぼ好きなだけ詰め込めるのが大きなメリット。小説等だけでなく、最近は漫画も読めるサービスが増加中。タブレットやノートPCを持っていく人、スマートフォンユーザーに試してほしい方法。その場合は充電手段も必須。
  8.  

  9. 仕事をし倒す ★★★
    旅行では通用しない手段。というか手段でもなんでもなく、しなきゃいけない人はせざるを得ない手段。自分は世界大会の入荷商品の紹介を作り続けて時間を潰したことがあります。
  10.  

  11. 大会で使う音楽を延々とリピートしながら瞑想する ★★
    海外大会に行く人限定。ステージからの景色を想像しながら、ひたすら瞑想。実際に練習としての効果がどれほどあるかはわかりませんが、気持ちが落ち着かない人には、ほんのちょっとでも慰めになるのでは。ちなみに自分の場合、逆に現地到着まで一切自分が使う音楽を聴きません。現地に着いたら、いやでも聴きまくるハメになるのですから。
  12.  

  13. 隣の人(他人)と仲良くなる ★★
    自分からはしたことがないものの、周りでは思いの外よく見られる方法。どこへ行くのか、何をしているのか、何をしにいくのか、小さなことからガンガン話が膨らむことも。うまくいけば自分の席でのリラックス加減も相当向上。日本人でないのならば海外の友人を作るチャンス。ただしトラブルの可能性もはらんでいることを理解して、あくまで初対面であること、礼儀とパーソナルスペースの考慮を忘れずに。
  14.  

  15. ゲームをする ★★★★★
    子どもたちにとっては、合法的に長時間、好き勝手にゲームができるチャンスです(もちろん時々休憩を挟みましょう)。大人たちも最近没頭できていなかったゲームに夢中になれるチャンスです。ただし携帯も電源を切ってくださいと言われる場なので、通信プレイは止めておきましょう。エコノミーの場合はコンセント等は無いことも多いので、予備のバッテリーがあると吉(乾電池は持ち込み規制がされている可能性があるらしいので要確認です)。できれば多ジャンル(RPG・シューティング・アクション・育成など)で持っていけると吉。
  16.  

  17. メンテナンスをする ★
    空港ならまだしも、飛行機の中では普通できません。そんな滅茶苦茶時間かかるものでもないですし、時間つぶしとしての効果は非常にうすいです。
  18.  

  19. ヨーヨーをする・練習する ★
    普通できません。でも海外の人との交流のチャンスではあります。飛行機の中は絶対止めてください(言うまでもなく)。

 

必需品

  • 着替え(泊数分・練習着・パジャマ的な)
  • パスポート・パスポートのコピー(印刷したもの)
  • 海外旅行保険のコピー(印刷したもの)
  • 世界大会参加登録完了メールを印刷したもの
  • ESTA渡航認証許可画面を印刷したもの(アメリカ行の場合)
  • 体温調節用上着(暑い地域でも建物内は極寒というのは珍しくありません)
  • ドル用サイフ、円用サイフ(分けてリスクヘッジしてください)
  • チケット
  • マイレージカード(1往復で相当貯まります。格安便など、プランによってはマイルが発生しないことも)
  • 筆記用具(ボールペン1本でOK。入国する際に手続き用紙に名前やパスポート番号諸々を記入します)※3
  • メンテナンス用道具(ストリング・パッドなど。ベアリング脱脂用の揮発性の液体は手荷物でなくても止めた方が無難)
  • メインヨーヨー(手荷物・積み込み荷物の両方に半分ずつ分担しましょう)※4
  • 予備ヨーヨー(メインヨーヨーと同じく半分ずつ分担しましょう)
  • 本番衣装
  • ヘア用品
  • 歯ブラシ
  • データ形式でなく音楽形式で製作したCD(予備も用意して手荷物と預け荷物で分けておくと、万が一片方をなくしても大丈夫)
  • 汗拭き系シート(飲食店でも紙ナプキンが置いてなかったりするところが多い、というかほとんどないという印象のため、除菌シート代わりにも相当重宝します)
  • 携帯(海外使用を想定したプランにしておけば尚良し)※5
  • 携帯用充電器

 

便利なもの

  • モバイルWi-Fi(スマホ・PC使用を想定している方)
  • 制汗スプレー or 手袋(スプレーは絶対積み込み荷物へ)
  • タオル数枚(練習で汗だくになる人ほど)
  • シャンプー類(ホテルにない場合ありますがこだわりのある方用)
  • ビニール袋(吐瀉物用・着替え用・ゴミ袋用・あって後悔しません)
  • 音楽プレイヤー+充電器(万が一CDが再生できなかった場合、予備として活用できることもあります)
  • 携帯用予備バッテリー
  • カメラ+充電器※6
  • 電圧変換機(充電器各種が海外の電圧に対応していなければ)※7
  • コンセント変換プラグ(コンセントの形は国ごとに違います。電圧変換器と一緒になっているものもあります)
  • 寝巻き
  • アイマスク
  • イヤホン(可能ならノイズキャンセリング機能付き)
  • マスク
  • 風邪薬・絆創膏などカンタンな救急用品
  • 日本食、日本のお菓子※8
  • 楽しむ気持ち
  • 最低限英語を聞き取ろうという気持ち(中学英語レベルで可)

 
色々書きましたが、何か一つでも忘れ物をして気持ちが焦ったら『パスポートとサイフがあれば生きて帰れる』と思ってください。実際帰れますから大丈夫です。

確認事項

  1. エントリーはしましたか?
  2. 預け荷物の重さと数は大丈夫ですか?(航空会社により1個15kg~25kg以下)
  3. CDの再生テストはしましたか?(パソコン以外でも要テスト)
  4. その筆記用具は書けますか?
  5. 先の尖ったもの(ピンセット)はバッグのなかに入れてませんか?※9
  6. 家電は行き先の基準電圧に対応していますか?
  7. コンセントは行き先のプラグに対応していますか?(国ごとに形が違います)
  8. ESTAは登録しましたか?(アメリカの場合)
  9. パスポートの有効期限は切れていませんか?(1週間で交換できます)
  10.  

    よくある質問:海外あるある

    Q.ヨーヨーは持ち込めますか?金属探知機に引っかかると言われたんですが…。
    A.引っかからないか、引っかかっても問題になりません。中身を出して見せて、ヨーヨーであることを見せられれば良いのです。

    Q.パーツクリーナー(ほかベアリング脱脂用の揮発性オイル)は持ち込めますか?
    A.持ち込めませんし、積み込まない方が無難です。とくに英語ができない人が空港で捕まると、とても厄介なことに。

    Q.タクシーのぼったくりとかよく聞くけど…。
    A.正規の乗り場から乗る分には、ふつう問題ありません。あらかじめ金額を聞いてメモしておくと確実性が増します。個人に声をかけられて「~まで○ドルだよ」とかいう呼び込みはスルーしましょう。最近はスマホでクレジットで事前決済・呼び出しができるタクシー配車アプリがある国と地域も増えています。

    Q.現地の食事がどうしても合わないんだけど…。
    A.スーパーやコンビニで日本のメーカーのごはんを探しましょう。最悪お菓子でもいいです。日本発のチェーン系レストランは、国ごとに大きく味付けを変えてることがあるので注意が必要です。現地にいるほかの日本人に聞いておいしいレストランを聞くのもいいでしょう。

    Q.荷物を分散したほうがいい理由は?
    A.預け荷物は、なぜか空港で紛失されることがあるからです。普通まずないんですが、たまーにヨーヨー関係者でもロストされたことがあるというのを聞きます。大体は1日~2日程度で戻ってくるんですが(その場合はホテルに届けてもらったりすることが多い)、大会当日になって曲がない・ヨーヨーがないということを防ぐためです。

    Q.財布 / 携帯 / カメラを盗られたんだけど…。
    A.残念ながら戻ってくる可能性は皆無です。なにか手がかりでもという方はGPSチップを付けておくという方法もありますが、それでも難しいです。スマホはGPSアプリをちゃんと設定し遠隔でロックできる設定にしておけば、悪用されたりする可能性は減ります。

    Q.パスポートを無くしたんだけど…。
    A.加入している保険会社に相談しましょう。規約内に海外から、もしくは現地支社へつながるヘルプデスクへの電話番号があります。基本的には「警察へ行き盗難証明書を発行」「大使館でパスポートの再発行」「帰国後に保険を利用」の3ステップらしいです。ともかくここでは扱いきれない状態ですので、自身でしっかり調べて対応してください。
     

    心得

    1. 知らない人に付いて行かない
    2. 一人にならない(子どもはとくに!)
    3. 荷物は放置しない
    4. 文章じゃなく単語でいいから英語でコミュニケーションしよう
    5. どうしても計画通りに行かないことも。それ自体が計画通りと思って冷静に
    6. 違う国の食べ物は口に合わないかも。でもそれも海外の醍醐味

    なにかあれば順次追加します。


    ※1:一度だけセントレア空港→グアム→ハワイ→ニューヨークというルートでアメリカに行ったことがありましたが、そのときは片道だけで28時間5分かかりました。チケット取得はお早めに。
    ※2:見たい映画に日本語字幕・吹き替えがなくても泣かない。
    ※3:とある年は自分が忘れていってしまい、「まあ空港にあるだろ」と思ってたらありませんでした。どこを探してもなかったので渋々白紙のまま通関に並び「なんで書いてないんだ」とイケメンの局員さんに睨まれて凄く怖かったので必ず持っていきましょう。
    ※4:重要な荷物で、なおかつ手荷物にも積み込み荷物にも持てるものは半分ずつにするのがオススメ。とくにCDは予選+本番・予選予備+決勝予備の2セットをそれぞれに入れておくとオススメです。CDとヨーヨーがあれば出場はできます。
    ※5:あるプレイヤーは優勝のお祝いのために電話が鳴り続けた結果★★万円の請求が来たというウワサがあります。
    ※6:盗難率が非常に高い物のひとつ。日本で見られる「親切な人が警察へ届けておいてくれました」なんてことは普通ありませんが、万が一盗まれた場合は念のため確認できるところはしておきましょう。
    ※7:海外に対応している充電器はどこかに『100V~240V』みたいな表記があります。日本でしか使えないものは『100V』と表記されています。
    ※8:パックごはんやみそ汁など、日本食はとくに体調を崩したときに重宝します。電子レンジが部屋にある人は検討してみてください。慣れ親しんだ味は一番の薬です。成分によっては持ち込めない食品もあるのでご注意ください。また、日本のお菓子は現地の人のお土産に使えたりもします。ハイチュウ、キットカットとか。
    ※9:捨てられます。
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    2013/06/07 城戸慎也
    2017/01/25 城戸慎也 加筆

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