ベアリング・軸の種類

ヨーヨーのボディとボディをつなぐ「軸」部分。ここはヨーヨーのストリング(ヒモ)を引っかけるところで、ヨーヨーの回転力や、どんなスタイルに向いているかなど、ヨーヨーにとって重要なステータスに大きく影響する部分なのです。ボールベアリングだったり、木の軸だったり、種類はさまざま。それぞれの特徴を覚えておくと、ひょっとするとヨーヨーの上達、トリックの習得に役立つかもしれません。

木製固定軸 – Wooden Fixed Axle

ダンカンのプロヨープロフライ、ヨーヨーファクトリーのレジェンドレジェンドウィングなどがこれに当たります。ヨリが強くなると戻りが強くなってスリープが短く、ヨリが弱くなると戻りが弱くなってスリープが長くなります。使っているうちにストリングが乗るところの表面がツルツルになってくるので、その場合は交換などのメンテナンスが必要になります。安価ですが、どうしてもスプールやベアリングより性能は劣り、今はあまり見ることがありません。しかし、他のものに比べ安価なことと、実はルーピングプレイがやりやすいという特徴があり、ハイパーヨーヨーのウッドバレットではその特徴を活かし、初心者向けのルーピング向き機種として紹介されています。


【写真1:ウッドバレット(ハイパーヨーヨー)】木製ならではのフィーリングは、意外とヤミツキになる。うまく手に戻ってこなくなってきたら、軸の交換をすること。
【写真2:レジェンドウィング(ヨーヨーファクトリー)】このように木から削り出して作られたヨーヨーも、言うまでもなく木製軸。このヨーヨーは分解できないため、軸の交換はできない。

他の呼び方:木製軸、木製ベアリング、ウッドアクセルなど
【メンテナンス方法はこちら】

金属製固定軸 – Metal Fixed Axle

ダンカンのインペリアルバタフライなどがこれに当たります。木製固定軸と同じで、ヨリが強くなると戻りが強くなってスリープが短く、ヨリが弱くなると戻りが弱くなってスリープが長くなります。安価なのが特徴ですが、スプールやベアリングのものと比べると、どうしても性能は劣ります。基本的にこれを採用している機種は、メンテナンスは不要なものがほとんどで、ストリングの交換のみで使用できます。ストリングを軸に二重に巻きつけると、ほとんどスリープをしないルーピング専用機種となります。


【写真3:インペリアル(ダンカン)】中央の銀色の部分が、金属の軸。安価かつメンテナンスがいらないというのは嬉しい特徴だが、スリープ時間は非常に短い。

他の呼び方:固定軸、金属アクセル、固定式メタル製アクセルなど

以上の固定軸2種は、ヨリ調整ができると、ヨーヨーの性能をフルに発揮できます。「ヨリ調整って?」という方は、こちらをご覧ください。

プラスチック製スプール(プラスチックベアリング) – Plastic Spool

ヨーヨーファクトリー のスピンスター、ヨメガのファイヤーボール、ハイパーヨーヨーのスピンフェニックスなどがこれに当たります。金属の軸の上にプラスチックを被せ、軸との摩擦を減らして回転力とスリープの向上を図っています。固定軸の2種と比べると、その差は歴然。ほとんどは専用オイルによるメンテナンスが必要となりますが、ハイパーヨーヨーのハイパーコメット・ヨーヨーファクトリーのファイヤードッグのようなボディが分解できないものには、オイルメンテナンスは不要です。


【写真4:ファイヤーボール(ヨメガ)】中央の白いパーツが、プラスチック製スプール=プラスチックベアリング。

【写真5:クロスドラゴン(ハイパーヨーヨー)】ナイロンスプールにも、さまざまな色・カタチがある。これは遠心クラッチにグリップさせるために、先端にOリングが付いている。

他の呼び方:ナイロンベアリング、トランスアクセルなど
【メンテナンス方法はこちら】

ボールベアリング – Ball Bearing

ボール-ベアリング [ball bearing] 回転軸と軸受けとの摩擦を少なくするために、間に鋼鉄の玉を入れたもの。球軸受け。(三省堂 大辞林より引用)……これを金属軸、またはボディの上に配置することで、スプールや固定軸のものをはるかに超える、相当な回転力とスリープを実現させます。最近のヨーヨーはルーピング用、ストリングトリック用を問わず、ほとんどこれを採用しています。


【写真6:シャッター(ヨーヨーファクトリー)】中央の金属パーツが、ボールベアリング。とても精密なパーツ。スリープ時間は、スプールにも固定軸にも勝る。

【写真7:YYJ スピードベアリング】正面から見たベアリング。これはもっとも一般的なカタチであり、リワインドで「ボールベアリング」と表記されているものは、全てこの平べったいカタチをしている。

他の呼び方:金属ボールベアリング、メタルベアリングなど
【メンテナンス方法はこちら】
※ベアリング自体のメンテナンス方法です。ベアリングの調子が悪い(うまく回らない・ギャリギャリと異音がする)ときに、こちらをご覧ください。ヨーヨー自体のメンテナンス方法は、各ヨーヨーのメンテナンス方法をご覧ください。

ボールベアリングには、種類もいろいろあります。これらは全て、主にストリングトリック用ヨーヨーに使われるベアリングであり、ヨーヨーのためだけに作られたベアリングも多いです。

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10ボールベアリング – 10-Ball Bearing

ボールベアリングの中の「玉」の数を10個に増やした特殊なボールベアリングです(通常はヨーヨーに使うサイズのベアリングなら8個程度)。通常のベアリングよりなめらかな回転が特徴で、使用感がほかのものとは大きく異なります。表面は、通常のベアリングと同じように平べったくなっています。ワンドロップ社のヨーヨーに標準搭載されています。


【写真8:10ボールベアリングの内部写真】丸い突起があるところに、ボールが入っている。この数が10個だから「10ボールベアリング」と呼ばれる。

コンケイブベアリング – KonKave Bearing

中央が丸く凹んだベアリングです。ストリングが中央に寄せられるため、ボディとふれにくくなり、トリック中のスリープロスを抑えます。ディフイーヨー社のベアリングで、高い回転力や、あらゆる点において高品質なのも魅力。ストリングトリック用ヨーヨーのボールベアリングの中では、トップクラスの人気を誇ります。


【写真9:Dif コンケイブベアリング(大径サイズ)】中央に向かって、ゆるやかなカーブを描いている。シンプルな構造なのだが、もはやストリングトリックの世界では、なくてはならない存在となっている。

曲面加工ベアリング – Curved Bearing

ディフイーヨー社のものではない、コンケイブベアリングとほとんど同じ形状のものを指します。

センタートラックベアリング – Center Trac Bearing

中央に凹みがあるベアリングです。ヨーヨーファクトリー社のベアリングで、コンケイブベアリングと同じ役割を果たしますが、形状が違うため、トリック中の「スベリ」の感触が異なります。同社の一部のヨーヨー(プロトスターなど)には初期搭載されています。コンケイブベアリングと比べると安価です。


【写真10:YYF センタートラックベアリング(大径サイズ)】ナナメ・直線・ナナメとカクカクになっているのが、コンケイブベアリングとの違い。

ピクセルボールベアリング – Pixel Bearing

カナダのCLYWとドイツのiYoYoによるコラボレーションで作られたベアリングです。8段の細かなステップによって曲線になっているのが特徴。コンケイブベアリングと同じ役割を果たしますが、形状が違うため、スベリの感触が異なります。


【写真11:CLYW x iYoYo ピクセルベアリング】8段階の面が組み合わさって曲線のようになったベアリング。コンケイブベアリングと近いが、使用感は別モノ。

グルーブベアリング – Groove Bearing

コンケイブベアリングなどと同じく、ストリングを中央に寄せさせるためにかなり大胆なカタチとなった、クルーシャル社のベアリングです。中央に、ストリング1本分のミゾが彫られています。


【写真12:グルーブベアリング(ダンカンサイズ)】一見ベアリングに見えないかもしれない、そんな特殊なベアリング。

【写真13:クラウン.st 7068(C3ヨーヨーデザイン)】実際に取り付けてみると、そこにミゾがあったかどうかがわからなくなる。しかし、効果はしっかり発揮されるので、ご安心を。

ビーフケーキ(ベアリング2枚重ね) – Beef Cake

わざと半分のうすさのベアリングを用意し、2枚重ねるという方式です。正確にはベアリングの種類ではないのですが、ユニークな構造の一例として紹介させていただきます。ベ アリングのミゾの間にストリングがはまるので、コンケイブベアリングと同じようにストリングを中央に寄せるという働きをします。構造上、感触はグルーブベ アリングに近くなります。


【写真14:XXXXL(ワード)】2枚のベアリングを重ねるという、突拍子もない発想。最初からこの状態のヨーヨーというのは、ほとんど見られない。
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